首都圏 交通網ストップ

首都圏139万世帯停電 交通網ストップ 3時間後復旧

 14日午前7時40分ごろ、東京と千葉、神奈川で約139万世帯の広範囲な停電が発生した。約3時間後に全面復旧したが、東京メトロなど首都圏の複数の路線で一時運行ができなくなったほか、エレベーターの閉じ込め事故が相次ぎ、千葉県では一部地区で断水。東京ディズニーリゾートでも開園時間が50分遅れるなど、お盆休みの首都圏が混乱した。この日朝、東京都江戸川区と千葉県浦安市の間にある旧江戸川で船に積載したクレーンが送電線に接触する事故が起きており、東京電力はこの事故が原因と断定した。
 ≪クレーン線、送電線に接触
 政府は午前8時半、首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置。東京消防庁も大規模災害時などに設置する作戦室を開設した。
 東電によると、停電は東京都大田区、世田谷区、江東区などのほか、千葉県浦安市市川市、神奈川県川崎市北部と横浜市青葉、緑両区などに及んだ。
 東京メトロは一部の路線で運行を停止したが、午前8時50分ごろにすべて復旧。都営地下鉄も午前8時35分までに全線で運転を再開した。東京メトロは約10万3000人、都営地下鉄は約1万7000人に影響した。
 このほかJR京葉線で約40分遅れるなど、首都圏の各線で影響が出たが、ゆりかもめが午前10時半に運転を再開し、交通網はすべて復旧した。
 警視庁によると、都内では少なくても440台の信号機が停止。エレベーターの閉じ込め事故も数十件起きたが、けが人は確認されていない。
 また、千葉県内の給水所のポンプが停止し、浦安、市川両市の一部で一時断水。浦安市東京ディズニーリゾートでもチケットの発券などができなくなり、午前8時予定の開園を約50分遅らせたほか、ほとんどのアトラクションを停止。安全が確認でき次第、順次運転を再開した。
 さらに、携帯電話が一時利用できなくなったり、スーパーが一時閉店したりするなど、経済活動にも影響が出た。
 東電によると、停電の原因になったのは「江東線」と呼ばれる送電線。茨城県の建設会社所有の作業船(約380トン)に積んだクレーンが送電線2本に接触した。
 千葉県警の調べでは、作業船は、旧江戸川沿いにある堀江ドック(浦安市堀江)で15日から行う予定だった浚渫(しゅんせつ)工事に向かうため、東京湾から川をさかのぼる途中。河口の舞浜大橋を過ぎ、現場に近づいたため、クレーンのアームを上げたといい、作業に当たっていた船員らは「接触するまで送電線に気付かなかった」と話している。
 浚渫工事は浦安市が発注し、大林組が受注していた。
 一方、東電によると、停電による苦情や問い合わせは午前10時現在で8500件に上った。

産経新聞 2006年8月14日]