神岡鉄道 「秋の散策列車」

「散策列車」名残惜しむ 廃線間近の神岡鉄道でイベント

 廃線まであと1カ月を切った飛騨市神岡町の第3セクター「神岡鉄道」で3日、名物イベント「秋の散策列車」が催された。県内外から約400人が訪れ、車窓から紅葉を眺め、高原川や跡津川の渓谷散策、神岡鉱山地下の研究施設見学などを楽しんだ。
 地元住民でつくる神岡鉄道協力会が毎年開催。今回が最後となった。
 参加者は8便に分かれて奥飛騨温泉口駅と猪谷駅から乗車。いろりを設けた車内の懐かしい雰囲気や、車窓の景観に歓声を上げた。漆山駅で下車後は、神岡鉱山跡津坑口まで約1・5キロを歩き、周辺の紅葉を満喫。富山市の会社員上野尚武さん(50)は「山の中を走る鉄道に久しぶりに乗った。景色がいい。もう終わりだと思うと、もったいない気がする」と話した。
 鉱山内では、素粒子観測施設スーパーカミオカンデの上部や重力波観測装置、地球深部の動きを調べる高精度レーザー伸縮計の周辺、掘削用重機などを見学。レーザー伸縮計で北朝鮮の核実験の震動をとらえたことなどが紹介されると、参加者から感嘆の声が漏れていた。

中日新聞 2006年11月4日]