仙台空港アクセス

仙台空港アクセス 東日本急行も参入 3社競争時代に

 仙台空港アクセス線仙台空港―JR仙台駅)の来春開業で、仙台市交通局が市中心部と空港を結ぶ空港特急バスを廃止するのに伴い、同区間のバス路線に東日本急行(仙台市泉区)が新規参入することが16日までに、分かった。同区間のバス運行は愛子観光バス(青葉区)に次いで2社目。市交通局が独占していた市中心部から空港への公共交通手段は、鉄道とバスの計3社による競争時代に突入する。
 東日本急行は10月27日、東北運輸局に路線開設を申請した。仙台駅西口から長町1丁目を経て空港に至る高速バス路線で、来年1月の認可を見込む。8月に申請した愛子観光バスは、6日に路線が認可された。いずれも市交通局の特急バス廃止の日から引き継ぐ。
 特急バスは、空港利用者の4分の1が交通手段とし、一日当たり約2000人が利用する「ドル箱路線」だった。アクセス鉄道を運行する仙台空港鉄道に出資している市が撤退するため、バス各社が新規参入を狙っていた。
 運行便数は東日本急行が往復計30便、愛子観光バスが計51便で、仙台駅、空港間の所要時間は40分。アクセス線は最速17分で結ぶ。片道運賃はともに800円で、市交通局より110円安いが、アクセス線が700円を想定しているのに比べ高めの設定となった。
 バス会社は、足回りの良さを強調する。ビジネス客を重視する愛子観光バスが「利用者の7割はビジネスマン。市内の主要ホテルと直結することで、他社がカバーできないすき間を狙う」(佐藤善明専務)と説明する。
 岩手県宮城県北との高速バス路線を持つ東日本急行は「バスからバスの乗り継ぎ客を見込んでいる。利用者がすべて鉄道に流れるとは思わないし、一便10人前後でも十分採算は取れる」(黒沢正紀専務)と見る。
 両社は「すみ分け」を狙い強気だが、参入を検討しながら見送った市内のバス会社は「鉄道開業で、競争は激化する。参入しても採算割れの恐れがあり、踏み切れなかった」と漏らす。
 仙台空港鉄道の八木功社長は「小回りが利くバスは軽視できない。競争は避けられず、速度や定時性に優れた鉄道の利点を訴えたい」と危機感を強めている。

河北新報 2006年11月16日]