東北北部大雨

住民の生活に打撃 道路寸断、集落孤立も 大雨被害

 秋雨前線と台風11号による大雨は17日から18日にかけて、東北北部に大きな被害をもたらし、避難指示や勧告を受けた住民は不安な夜を過ごした。18日午前までに雨は弱まったが、建物の被害や交通機関への影響は広がり、住民の生活に打撃を与えた。
 最も被害が大きかった秋田県は18日、寺田典城知事を本部長に災害対策本部を設置。西村哲男副知事は北秋田市などの被害状況を視察した。
 米代川に沿って市街地が広がる能代市二ツ井町では17日、二ツ井町総合体育館に住民約800人が避難した。「家を出るとき、堤防の約70センチ下まで水が来ていた」と無職の女性(77)は不安げな表情を見せた。
 秋田県内では一時、9市町村の2万4403人に避難指示・勧告が出され、これとは別に689人が自主避難した。
 北秋田市では、河川のはんらんで橋が通行止めになった羽立地区の16世帯28人が孤立し、阿仁前田地区でも特別養護老人ホーム森泉荘」の入所者ら76人が一時孤立した。
 仙北市では17日、玉川温泉で宿泊客916人と従業員167人が施設に足止めされ、秋田内陸線の上桧木内駅では、乗客乗員21人が急行の車内で一夜を明かした。
 岩手県では奥州、一関両市で計39人に避難指示が出され、避難勧告は11市町村で3505世帯に達した。西和賀町沢内では和賀川に架かる長さ30メートルの桐沢橋が17日夜、流木によって橋脚が折れて全壊した。
 青森県でも八戸市など3市町の42世帯、宮城県では登米市の3世帯に避難勧告が出た。各県で土砂崩れや冠水に伴い幹線道路が寸断され、復旧作業が続いている。
 鉄道は18日、JR秋田新幹線が安全点検のため終日運休になり、東北新幹線も一部で運休した。在来線は東北、奥羽、北上、花輪、5能の各線などで運休が相次いだ。秋田新幹線は19日、始発から運転を再開する予定。

河北新報 2007年9月19日]