九州新幹線 東京・大阪へ直通の実現を求める

「つばめ」海峡を渡れ 九州新幹線・鹿児島ルート 大阪・東京へ直通運転を システム統一など課題山積

 2011年春に全線開通する九州新幹線・鹿児島ルートについて、熊本からの上り便が博多で引き返さず、大阪や東京まで直行する「直通運転」の実現を求める声が高まっている。県はこのほど国に提出した来年度政府予算案の要望項目に初めて盛り込み、陳情活動を本格化。県選出国会議員を中心にした議員連盟も発足し「つばめ」の“関門海峡超え”を後押しする。

■県が陳情活動本格化
 21日、県議会一般質問。直通運転について、県幹部は「県政の重要課題」と位置付けた上で「JR九州は既に全線開通に向けた運行形態の協議を始めている。旅客需要などの課題は多いが、利便性を向上させるため、実現に努めていきたい」などと答弁した。
 直通運転は九州新幹線と、東海道・山陽新幹線の車両が互いの路線に乗り入れて運行するアイデア。実現した場合、熊本―大阪間は3時間ほどで結ばれる計算になる。
 交通対策総室によると現在、熊本から近畿圏への移動は8割が航空路線を利用。一方、博多―大阪間は7割が新幹線を利用しており「直通運転が実現すれば熊本からも同じ程度の需要が見込める」という試算もある。
 だが課題は多い。東海道・山陽新幹線九州新幹線は運行指令や制御システムが異なるうえ、鹿児島ルートにはこう配率が35%を超えるトンネルが2カ所あり、この“難所”に対応できるのは九州新幹線の「つばめ」だけ。さらに鹿児島ルートが通過する、ほかの福岡、佐賀、鹿児島各県やJR3社の間で直通運転に対して微妙な温度差があり、相互乗り入れ実現に必要な整備費を誰がどう負担するかも不確定だ。
 鹿児島ルートが全線開通すれば熊本―博多両駅間の1日の利用見込み客数は2万8500人。直通運転について、JR九州も「実現に向けて検討したい」(新幹線計画室)と前向きな姿勢を示しており、県は「ここ1、2年が勝負。経済界などと意思統一を図りながら、九州の総意として国やJR各社に要望を伝えていきたい」(交通対策総室)考えだ。

西日本新聞 2006年6月22日]