羽田空港アクセス

羽田アクセス 鉄道2社の競争が過熱 貴重なドル箱路線で

 09年末の羽田空港再拡張完了と国際線定期便就航へ向け、空港に乗り入れている「東京モノレール」(本社・東京都港区)と「京浜急行電鉄」(同)の競争が過熱している。空港利用客が現在より約1000万人多い年間約7300万人に増える見込みで、鉄道の輸送需要が頭打ち・減少傾向にある中、貴重なドル箱路線だからだ。少しでも多くの利用客を取り込もうと、両社はハード、ソフト両面の整備を急ピッチで進めている。
 羽田空港は現在、年間約6400万人が利用し、うち約6割は鉄道を利用しているとされる。再拡張事業は、同空港に4本目の滑走路「D滑走路」を建設、09年末の供用開始を目指す。年間発着回数は、約40%増の40万7000回となる見込みで、これまでチャーター便のみだった国際線の定期便が就航する予定だ。
 両社にとって再拡張は「パイが大きくなる」と期待が大きく、「数%の利用増を見込める駅を持つこと自体、鉄道会社として恵まれている」。ともに新設される国際線ターミナルビルに新駅を建設する。
 東京モノレールは、来春までに昭和島駅に待避線を新設し、快速列車が普通列車を追い抜けるようにして快速列車を増発する。小林隆運輸部長(当時)は「人気のある快速主体のダイヤ編成にしたい」と話す。
 京急は、単線で列車増発の障害となっている京急蒲田駅付近を複線化する工事を急ぐ。完成後は運行本数を倍近くまで増発し、品川方面から1時間に平均9本、川崎方面から6本を走らせて利便性を高める。広報宣伝担当は「羽田中心の事業戦略を継続したい」と説明する。
 羽田空港への乗り入れは、かつては東京モノレールのみだったが、98年に京急羽田空港駅まで延伸したことで状況は一変した。
 東京モノレールは03年に快速列車を導入し、浜松町から羽田空港第1ターミナルの駅までの所要時間を4分短縮。JR東日本と提携し、ICカード「Suica(スイカ)」が使えるようにした。97年度の1日あたり約17万8000人をピークに減り続けた利用客は下げ止まり、05年度には1日あたり約12万7000人が利用した。
 京急羽田線の本数が多い札幌や福岡、大阪でCMなどのキャンペーンを展開。羽田空港駅の乗降客数は、99年度の1日あたり約4万人から05年度には約7万1000人に増えた。

毎日新聞 2006年10月11日]