航空会社と鉄道会社の提携

航空、鉄道各社 がっちり握手 ポイントサービス競う2陣営

 航空会社と鉄道会社が、クレジットカード事業で相次ぎ提携している。カードの利用金額に応じてたまるポイントの相互交換サービスを提供するもので、全日本空輸(ANA)と東京地下鉄(メトロ)が3月からサービスを開始する。日本航空(JAL)は、すでにJR東日本東急電鉄と相互利用サービスを開始しているほか、4月には小田急電鉄との提携カードを発行する。
 首都圏の私鉄や地下鉄とJRの両方で利用できるICカード乗車券「パスモ」の導入をにらみ、“空”と“陸”で手を結び、顧客を囲い込むのが狙いだ。
 鉄道各社は、系列百貨店やスーパーなどで利用できるクレジットカードを発行。航空会社も、マイルサービスを利用できるカードを発行している。提携サービスは、マイルのポイントで買い物をしたり、買い物でたまったポイントを航空券の購入に充てられるようにするもの。
 3月に誕生する「パスモ」では、ポイントを電子マネーとしてため、乗車運賃や買い物に利用できるようになる。
 この結果、航空便を利用してためたマイルポイントを電子マネーとして利用できるようになり、鉄道・航空ともに顧客へのサービス向上が図れる。
 ANAでは、すでにマイルポイントを電子マネー「エディ」として利用できるが、東京メトロとの提携により、「パスモ」の電子マネーとしても、利用できるようになる。
 また、両社は、営業協力でも提携。ANAの航空機で東京を訪れた観光客に、東京メトロが、通常の価格よりも格安で企画乗車券を販売することなどを検討している。
 東京メトロでは、「国内最大規模の航空ネットワークとの融合により、これまでにない幅広いサービスを提供できる」と期待する。
 JALと小田急電鉄が発行する提携カード「JALカード OPクレジット」は、1枚のカードで両社のポイントをためられるのが特徴。小田急系列の店舗で同カードを利用すれば、購入金額分のマイルと小田急ポイントをダブルでためることができる。また、大手百貨店を傘下に置く小田急カードの会員は女性がメーン。男性のビジネス客が多いJALにとって、新しい顧客層の開拓につながる期待も大きい。
 JALでは、「お得感で、小田急沿線や百貨店のお客さまを取り込みたい」と話している。
 まだどちらの航空会社とも提携していない首都圏の大手私鉄も多く、パスモの本格始動を前に、ポイントサービスによる顧客の囲い込み作戦はさらに白熱しそうだ。

[フジサンケイ ビジネスアイ 2007年1月16日]