JR和歌山線北宇智駅 スイッチバック廃止

スイッチバック:さよなら 100余年の歴史に幕--JR和歌山線北宇智駅 /奈良

◇3月17日限り、近畿で唯一のSL時代の施設
◇進行方向逆転が解消、踏切閉鎖時間も短く
 五條市住川町、JR和歌山線北宇智駅スイッチバックが3月17日限りで姿を消す。春のダイヤ改正に合わせ、線路が直線に付け替えられるため。JR西日本によると、スイッチバックが残っているのは近畿ではここだけで、下りは午後9時27分発、上りは同58分発がラスト走行となる。
 和歌山線五条―大和高田間は、1896(明治29)年10月に開通。北宇智駅は五条―御所境の峠の途中に開設され、急こう配のため、列車は「Z字」状の線路を上るスイッチバック方式を取った。五条から上ってきた列車はいったん駅を通り過ぎて引き込み線に入った後、バックして駅に入り発車していた。
 蒸気機関車に応じた施設で、現在の列車には必要ないのと、進行方向が変わって運転士が2回前後に乗り換える必要があり、昨年3月、ATS(自動列車停止装置)の入れ忘れが2件発生するトラブルも起こっていた。また、列車が住川踏切を3回通って閉鎖時間が長くなるため、地元からも改善が要望されていた。
 工事のため、列車は17日のラスト走行以後は、18日午前9時まで同駅を通過。18日午前9時~午後5時半まで、五条―吉野口間を運休し代行バスを出す予定。午後5時半以降は新ダイヤで運行する。
 工事後は踏切閉鎖時間は午前6時~同9時の上下11本で計53分から16分に短縮される。上下別だったホームは一つになる。事業費は1億7千万円。

毎日新聞 2007年1月25日]