三陸鉄道 「赤字せんべい」売り切れ

「赤字せんべい」快走中 三陸鉄道、乗客増願い駅売り

 岩手県沿岸を走る第三セクター三陸鉄道の経営難をそのまま名前にしたせんべいが大人気だ。「三鉄赤字せんべい」。ネーミングが受けて売り切れが続く。製造販売する地元の菓子店は次の商品も準備中で、三鉄は「ご支援を乗客増につなげたい」と波及効果に期待している。
 話題のせんべいは、三陸鉄道に接続するJR山田線沿線の「菓子工房三石」(山田町)が昨年12月下旬に売り出した。
 1袋300円。宮古駅と三鉄車内で売り始めたところ話題になり、出荷後すぐに完売する状況が続く。現在は週400個の出荷。三鉄は今月中旬から、久慈、釜石、盛(大船渡市)の3駅でも扱うようにした。
 菓子工房三石の店主三石勝信さん(49)は「赤字でもいい。頑張ってほしい」と激励の意味を込めてせんべいを考案した。三鉄は利用者減が続いて経営状態が悪化し、2005年度は約1億2000万円の赤字決算。「赤字をバリバリ食べて」という願いも込めたという。
 海藻を練り込んで沿岸地域の味わいを工夫してあるが、「赤字」だからといって辛くはない。深い甘みが特徴で、「食べた人はみんな笑顔になる」と評判だ。
 三石さんは27日、新製品の貝殻形マドレーヌ「また乗(の)レール」(4個入り400円)も売り出す。山田町内の小学生がせんべいの評判を聞きつけて名前を提案した。「遊び心が話題を呼び、三鉄にいい影響が出てくれればうれしい」と三石さん。
 人気に恐縮気味だった三鉄もマドレーヌでは相乗りを狙う。袋に入った挿絵を集めると、片道切符と引き換えられる特典を付けて売り込む。総務課は「地域の路線を地域の皆さんが支援してくれる動きが今後も広がってほしい」と期待する。
 菓子の連絡先は三陸鉄道0193(62)8900。

河北新報 2007年1月26日]