鹿島鉄道 4月1日に廃線

鹿島鉄道:83年間の運行ありがとう 住民、ファンら終日別れ惜しむ /茨城

◇最後の一日
 4月1日で廃線となる鹿島鉄道(石岡―鉾田、27・2キロ)が31日、最後の運行を終えた。「かしてつ」の愛称で地域に親しまれた列車を惜しみ、各駅には大勢の地元住民や鉄道ファンが詰めかけた。沿線住民らによるさまざまなイベントも開かれ、「地域の足」として走り続けた83年間をねぎらった。
 石岡駅では、普段は人もまばらな午前5時台にも約50人の乗客が集まった。列車は同8時台から終日、2両編成で運行された。混雑で乗降に時間がかかり、ダイヤは最大で15~20分の遅れが出た。同鉄道の社員約30人が総出で各駅ホームなどの警備に当たったほか、県警鉄道警察隊などがトラブルに備えてホームをパトロールした。
 午後5時20分、乗客、カメラマンらで押し合いになった石岡駅のホームで、石岡市NPO法人「まちづくり市民会議」などが運転士、車掌らに花束を贈呈。小野里忠士社長(62)は「ここ数カ月の乗客の盛り上がりが鉄道マンとしてうれしかった。温かい支援が社員一人一人の心に残っている」と乗客らに語りかけた。
 一方、鉾田駅でも午前9時ごろから、鉾田市内の各団体によるおはやし演奏や乗客への湯茶のサービス、地元産野菜の無料配布などが行われた。また、商工会などが5枚1組のポストカード1000組を無料配布した。乗客らは、列車が到着するたびにカメラを構えて「かしてつ」の最後の雄姿を収めていた。石岡駅から乗車した水戸市赤塚、税理士、古徳正義さん(72)は「地域の足として活動してきたと思うが、廃線は寂しい。最後くらいにぎやかなほうがいいですね」と話した。

毎日新聞 2007年4月1日]