立川駅 明日から「1番線」復活

意外に多い“謎の欠番”ホーム 立川駅「幻の1番」あす復活

 「幻のホーム」1番線が、25年ぶりに復活する。JR立川駅(東京都立川市)。1番線ホームは昭和57年、橋上駅舎への改築と駅ビル「ルミネ」の開業に伴って撤去されて以来、欠番となっていた。駅ナカ商業施設「エキュート立川」の開業と駅改良工事に合わせ、現在の2~9番線を1~8番線に変更。30日の始発から「1番線、ドアが閉まります。ご注意ください」のアナウンスが響き渡る。
 通学で立川駅を利用している立川市内の大学2年の女子大生(19)は「1番線ってあったんですか?どこに?」と首をかしげる
 同駅の皆川弘美駅長(56)も「1番線がないことは、今年6月に着任して初めて知りました。着任時、『ここは2番線からですから』と言われましたよ」と頭をかいた。
 立川駅は現在、駅北側から青梅線(2、3番線)▽中央線上り(4、5番線)▽中央線下り(一部青梅線、5、6番線)▽南武線(8、9番線)-の4つのホームがある。1番線ホームはかつて、青梅線の降車専用ホームとして2番線の北側に存在していた。
 JR東日本八王子支社によると、青梅線から中央線に直通する電車の本数が増えたことから、改めて降車専用ホームを再整備する必要がなくなった。皆川駅長も「1番線は降車専用で、青梅線の乗り場は2番線というのが乗降客に定着していた」と説明、1番線は欠番のままとなっていた。
 1番線ホームでは39年、米軍立川基地の油送車が西立川駅から暴走して青梅線の電車に衝突、大火災が発生。炎は駅沿いの商店街を飲み尽くすという事故もあった。
 こうしたこともあり、鉄道ファンの間では「幻のホーム」「立川駅の謎」として有名にもなった。
 欠番が存在する駅は、意外と多い。鉄道アナリストの川島令三さん(57)は「最も多いのは、立川駅のように廃止された場合」と説明する。
 JR上野駅の18番線も、その一つだ。平成9年の長野新幹線の開業に伴い、信越本線の特急列車「あさま」「白山」などが運転を取りやめたため、廃止された。
 貨物列車用などとして線路は存在するがホームがなく、線路の番号に合わせるために欠番とするケース(JR名古屋駅9番線など)もある。
 東京駅では、東海道新幹線乗り入れで12~13番線が22~23番線と変更され、そのまま欠番だ。
 ホームの番号について、川島さんは「JR熊本駅には0A、0Bという乗り場があったり、1号線と呼んだりする駅もあったりする。駅のホームの話だけで、1冊の本が書けちゃいますよ」と笑う。
 日頃使っている駅のホームに欠番があったら、「なぜ?」と調べてみるのもおもしろい。
 ホームの欠番をなぜ解消しないのか。川島さんに聞くと、答えは「それは、金がかかるから」。
 皆川駅長に確認すると、ホームの番号を変更することで、インターネット情報や各電車内での放送などあらゆる所で変更する必要があり、莫大(ばくだい)な費用がかかるという。
 JR関係者は「立川駅の1番線ホームが廃止された当時は、莫大な赤字を抱えていた国鉄だった。『青梅線の乗り場は2番線と定着しているのなら、このままでいいじゃないか』と、変更を拒んだという話もあったらしい」と打ち明ける。
 立川駅は、1番線ホームの復活に踏み切った。皆川駅長は「乗降客からの要望が多かった。それに、10月5日にはエキュート立川も一部開業し、新たに西改札や南改札を設置します。立川駅の新たな一歩としたい」と強調する。
 “新生立川駅”は30日、発車する。

産経新聞 2007年9月29日]