伊賀鉄道・養老鉄道 1日開業

伊賀鉄道養老鉄道が開業 園児ら招き記念電車

 長年続いた赤字のため近鉄から伊賀線伊賀市)と養老線桑名市など)の運行をそれぞれ引き継いで1日、開業した伊賀鉄道養老鉄道。両社は親会社の近鉄や財政面などで支援を受ける沿線自治体の関係者を招いて発足式典を開き、新会社の門出を祝った。
 伊賀市内のJR関西線と近鉄大阪線を結ぶ近鉄伊賀線の運行業務を引き継いだ伊賀鉄道伊賀市)は、本社がある同市上野丸之内上野市駅で、近鉄小林哲也社長や伊賀鉄道の中村精一社長ら約20人が出席して式典をした。
 中村社長は「安全輸送に徹し、地元や利用者の要望を取り入れて市の文化発信を一緒にもり立てたい」とあいさつ。今岡睦之市長は「伊賀線で訪れた方に帰ってきた気分になってもらえるよう、地域を挙げてもてなしたい」と側面からの支援を表明した。
 式典の後、記念電車の出発式があり、近くの白鳳幼稚園の園児2人が運転士に花束を手渡した。
 市は伊賀鉄道に赤字補てんなどのため10年間で計6億6500万円を拠出。同社は運賃を平均20%値上げする一方、ダイヤ改正で関西線や大阪線との連絡を便利にした。
 桑名市岐阜県揖斐川町を結ぶ近鉄養老線を引き継いだ養老鉄道(本店岐阜県大垣市)の発足式典は同鉄道桑名駅ホームであり、近鉄山口昌紀会長ら約50人が出席した。
 養老鉄道の野口満彦社長が「地元に密着したサービスと経営効率化に努めたい」とあいさつ。水谷元・桑名市長は「沿線市町にとって非常に大切な公共機関であり支援を決めた」と述べた。その後、午前8時25分発大垣行き記念電車の運転士に花束が贈られた。
 新会社になって運賃は平均で2割増。桑名駅を通る近鉄名古屋線と切符も別になり、初日はとまどう利用者の姿もみられた。雨の日の通学に利用している桑名北高校2年の小野卓馬君(17)は「間違えて近鉄の切符を買ってしまい、電車に乗り遅れた。高くなったのは嫌だけど、廃線も困るので仕方がない」と話していた。

中日新聞 2007年10月2日]