京浜東北線209系順次引退へ

JR東日本京浜東北線「209系」引退へ…民営化の象徴

 海と空をイメージしたブルーのラインで親しまれているJR京浜東北根岸線を走る通勤電車「209系」が今月から順次姿を消す。JR東日本がグループ各社に先駆け製造した「低コスト、高性能」をコンセプトにした民営化の象徴的存在だが、09年度末までに全車両が「E233系」と呼ばれる新しい電車に変わる。
 209系は、国鉄時代の「103系」と比べ、製造費用は2割ほど安い約9000万円、重さは3分の2の25トンで、運転にかかるコストは半分ほどと省エネ型だ。耐用年数は30年から半分になったが、その分車体の安全性は向上した。
 車窓カーテンを廃止し、熱線吸収ガラスを採用。座席クッションの改善や冷房装置の増設、先頭車両には車椅子用スペースを設けるなど次世代通勤電車で、93年春に京浜東北根岸線大宮-大船間(81.2キロ)で営業運転を始めた。
 一方、JR東日本は、209系を基に故障時にも対応できるように主要機器類を二重にするなどした新しい車両「E233系」の開発を始めた。1両当たりの製造費は1億500万円に上がったが、06年12月末から、中央快速線に先行導入したところ、故障に強いだけでなく乗り心地や車内での情報案内機能の向上で評判は上々だ。
 このため、京浜東北根岸線を走る209系の全830両はすべてE233系に変わることになった。
 209系の開発に携わったJR東日本の橋爪進・安全対策部次長は「苦労しながら作り上げただけに寂しいが、所期の目的を十二分に果たした。ご苦労さんとねぎらってあげたい」と話している。

毎日新聞 2008年1月14日]