おおさか東線 一部開業

JR西「おおさか東線」一部開業 沿線、高まる期待

 大阪府東部を南北に走るJR西日本の新線「おおさか東線」が15日、一部開業した。同社の新線開業は、平成9年の東西線(京橋-尼崎)以来11年ぶり。奈良県と京橋や北新地など大阪北部との間が時間短縮されるほか、大阪市営地下鉄近畿日本鉄道と連絡して乗り換えが大幅に便利になる。24年春にはJR新大阪駅に直結、ものづくりの町で知られる東大阪市や八尾市など沿線の地元では、新線開業による活性化効果に期待が高まっている。
 おおさか東線は、久宝寺から放出(はなてん)を経由し、新大阪にいたる約20キロの計画。この日、そのほぼ半分の久宝寺-放出間約9キロが開業した。城東貨物線(単線)の施設や用地を活用し、電化、複線化した。
 同区間普通列車で所要時間15分。通勤時間帯にはおおさか東線経由で、奈良-尼崎間に直通快速を1日8本走らせる。奈良から大阪・キタまで58分で着き、これまでの天王寺経由に比べ6分短縮となる。
 JRの関西線(大和路線)、学研都市線片町線)、東西線と連絡するほか、5つの新駅のうち3駅がそれぞれ地下鉄中央線、近鉄奈良線、同大阪線と連絡。
 これまで南北を結ぶ鉄道がなかった大阪府東部の乗り換えが一気に便利になる。
 おおさか東線は1日に142本の列車を運行、3万6000人の乗降客を見込む。
 新線開業を活性化のきっかけにと期待をかけるのが東大阪市など沿線都市だ。
 おおさか東線の「JR河内永和駅」、近鉄奈良線の「河内永和駅」がある地域は、平成15年に東大阪市役所が現在地(同市荒本)に統合されるまで、市役所西支所が置かれるなど市内最大の官庁街で人通りも多かった。現在は、駅前商店街もシャッターを閉めたままの店舗が目立つ。
 しかし新しい駅ができ、「乗降客が増え商店街の活性化がはかれる」(今谷喜洋・東大阪商工会議所専務理事)と歓迎ムードだ。駅前で15階建てマンション「ローレルコート永和」を建設中の近鉄不動産が、8日から分譲を始めたところ、すでに登録が第1期分35戸の半数を超えたという。
 新線開業に連携し、東大阪市では産業振興ビジョンを新しく策定、新駅の駅前再開発などを進め、地域活性化に力を入れる。
 八尾市の久宝寺駅前でも、住友不動産と関電不動産が23年の完成を目指し、1500戸規模の高層マンションを核にした大規模再開発を進めている。
 一方、近鉄は、これまで同社線経由でJR環状線を利用した乗降客が、運賃が安くなるおおさか東線に回る可能性が高いとして「年約1億円の減収」を予想。しかし、21年春の「阪神なんば線」(西九条-難波)開業で、近鉄も神戸方面へ相互直通を実現。関西の交通網で新線との相乗効果も見込まれる。

産経新聞 2008年3月15日]