中央線 変電所でトラブル

中央線トラブル、復旧作業7時間 夜まで混乱

 東京都国分寺市のJR中央線国分寺駅構内の変電所で10日早朝、ぼやがあった影響で、中央線快速は通勤時間帯から約7時間にわたり全線で運転を見合わせた。立ち往生した電車5本から約2000人が徒歩で移動するなどし、影響人員は約50万人に上った。原因は変電所の遮断機(ブレーカー)故障とみられるが、JR東日本は漏電の可能性に気づかず、発生から1時間半にわたり送電を継続。復旧は大幅に遅れ、夜まで混乱が続いた。
 同社によると、午前6時半ごろ、現地の社員が変電所隣の通信施設の発煙に気づいた。変電所の遮断機が出火し、火が広がった可能性が高いが、変電所の異常を指令所に知らせるシステムが働かず、通信施設単独の火災と判断した。
 消火ガスが充満したため建物内に入れず、消防の指示で送電を停止したのは午前8時ごろ。地面に電気がたまり、さらに出火する恐れがあり、近隣マンションの配線が燃える被害も出たという。
 同社は変電所と架線をつなぐ回路を切り離し、別の変電所から送電する作業に取り掛かり、午前11時半ごろに送電を再開。しかし、その間に通信機器も焼損していたことが判明。指令を伝える無線や有線が使えなくなり、乗務員との連絡に手間取ったため、正午と発表していた復旧時間を午後2時に修正した。さらに指令室の信号のモニター表示にもトラブルが発生し、運転再開は午後3時にずれ込んだ。
 再開後も運行本数は通常の約4割で、夜になっても7割程度。終日で411本が運休、影響人員は正午現在の倍の約50万人に膨らんだ。
 沿線各駅では足止めされた利用客があふれ返り、周辺駅に振り替え輸送の客が殺到。私立小学校などの入学式と重なり、真新しい制服姿の親子連れもみられた。
 都心から立川市内の会社に通う男性(45)は「三鷹駅で電車が止まったため吉祥寺駅に引き返し、京王電車で来たが、1時間半は遅刻しそうだ」とうんざりした様子だった。

産経新聞 2008年4月11日]