福島交通 更生法申請

福島交通が更生法申請 負債81億円、低価格競争打撃

 福島県中通り地方を中心に、路線バスや鉄道を運行する福島交通福島市)は11日、東京地裁会社更生法の適用を申請し、保全管理命令を受けた。同社によると、子会社1社を含めた負債総額は約81億円。当面、運行業務を継続し、路線廃止や減便もないという。
 同社によると、マイカー増加や少子高齢化などで通勤・通学客が減少したのに加え、規制緩和で貸し切りバスや高速バスの低価格競争が激化し、経営が悪化。不採算路線の廃止や営業所の閉鎖、不動産売却で立て直しを図ったが、抜本的な経営改善にはつながらず、自主再建を断念した。
 帝国データバンク福島支店によると、同社はピーク時の1993年9月期には売上高約117億円を計上したが、2007年9月期には半分の約59億円にまで落ち込んでいた。
 地裁から保全管財人に任命された小林信明弁護士は同日、福島県庁で記者会見し、交渉中のスポンサーから支援を受けて経営再建を図るとともに、約400人の債権者には債権放棄を働き掛けていく方針を明らかにした。
 一緒に会見した武藤孝志社長は「関係者に多大なる迷惑をかけて申し訳ない」と謝罪。経営責任を問われると、「保全管財人の指示に従う」とだけ答えた。
 会社側に続き、会見した同社労組の紺野勝芳委員長は「路線バス事業の経営環境が厳しい中、安定した経営基盤をつくってこなかった会社の責任を追及していく」と言及。ただ、予想される給与削減については「これまでも大幅なカットをのんできた。今後打診があった場合、一切応じないというわけではない」と柔軟姿勢を見せた。

福島交通]1907年創業。軌道の狭い「軽便鉄道」の運行から始まり、その後バス運行にも事業を拡大した。72年に故小針暦二氏が経営に参画。86年、使途不明金問題が発覚し「新福島交通」として新会社に移行し、その後に現社名に変更した。福島県中通り地方と相馬地方を中心に140のバス路線があるほか、福島市中心部と飯坂温泉を結ぶ鉄道の飯坂線も運営している。従業員数は約900人。2007年9月期の売上高は約59億5000万円。

河北新報 2008年4月12日]