JR西日本 新造車両の車体強化

JR西、新快速などの車体強化へ 脱線事故を教訓

 JR西日本山崎正夫社長は21日の会見で、東海道本線の新快速などに使われる223系について、7月以降に製造する車両の強度を改善すると発表した。車両が大きく損壊した平成17年の福知山線脱線事故を教訓に、車両側面の素材などを強化・補強。時速約50キロで衝突した場合、これまでより2割広い車内空間が確保でき、乗客の生存率が大幅に高まるという。
 同社によると、車体の側面の外板に1・8倍の強度を持つ強化ステンレス材を採用。車内の開閉ドアの両サイドにある側柱の屋根と床の結合部分もこれまでよりさらに補強する。7月以降に製造する223系40両のほか、現在運行している約470両も補強を検討している。
 鉄道総合技術研究所(東京)などによると、約7000件の踏切事故データを基に、急ブレーキを加えた電車の衝突速度を調べたところ、平均で時速49キロと判明。コンピューターシミュレーションでは、今回の車体強化で、衝突した際の車両内の残存空間がこれまでよりも20%増えると見込んでいる。
 福知山線脱線事故では、207系の2両目が側面からマンションに激突し大きく折れ曲がった。死者107人のうち、少なくとも45人が2両目で犠牲になったため、横方向からの衝撃に対する弱さが被害を拡大したと指摘されていた。
 山崎社長は「乗客の圧死や負傷を減らす車体強度の導入はやや遅れた感があるが、今後はそうした批判を頭に置きながら安全性向上策を進めてきたい」と話した。

産経新聞 2008年5月21日]