羽越線脱線事故 きょうで半年

防風柵来月にも着工 羽越線転覆事故から半年

 死者5人を出したJR羽越線特急いなほ転覆事故は、25日で発生から半年を迎えた。山形県庄内町の現場では防風柵設置に向けた準備がほぼ終わり、来月にも着工される。被害者への示談交渉は一部で進んだ。山形県警は年内の立件を目指し、捜査を続けている。
 事故現場では、付近2.3キロ区間に設ける防風柵工事に向け、線路下の田んぼが整地され、工事車両が入れるように近く舗装される。JR東日本は「7月中をめどに着工し、予定通り11月末までに設置したい」(広報室)としている。
 負傷者32人のうち、最後の入院患者となっていた新潟市内の女性は先月10日、事故から約4カ月半ぶりに退院。春先から補償交渉に入ったJR東日本の荒井稔新潟支社長は21日、負傷者の一部と示談が成立したことを明らかにした。人数や補償額など具体的な内容については公表せず、残る被害者にも個別に対応しているという。
 一方、山形県警庄内署捜査本部は、業務上過失致死傷容疑での立件を目指し、捜査を続けている。事故は突風が原因とみられ、車両や軌道上の損傷などを照合し、脱線転覆に至った経緯を裏付ける地道な作業が続いている。
 こうした解明と併せ、強風下での運行管理に問題がなかったかなど、JR側の過失の有無や刑事責任を問えるかが今後の焦点だ。捜査幹部は「事故から1年以内、年内の立件が目標」としている。

河北新報 2006年6月25日]