PASMO 利用者の75%がSuicaも所持

パスモ>スイカも所持75% 併用ニーズ見誤り

 人気過熱で在庫切れの懸念を招いた首都圏の私鉄・バスの共通ICカード乗車券「PASMO」(パスモ)は、4月の販売制限から間もなく2カ月がたつ。運営する「パスモ」(東京都新宿区)が行ったアンケート調査で、パスモ購入者の約75%がJR東日本の「Suica」(スイカ)も所持していることが9日、分かった。「相互利用が可能なスイカの所有者はパスモを買わない」という当初の見通しの甘さが裏付けられた格好だ。
 3月18日にサービスを始めたパスモは、1年間で500万枚の販売を見込んでいたが、発売から1カ月もたたない4月9日には発行枚数が300万枚を突破。在庫切れの恐れがあるとして、同12日から私鉄各社は定期券を除く新規販売を一斉に見合わせている。
 アンケートは、販売制限を受けパスモ社が5月に約1万人を対象にインターネットを通じて実施。約75%のスイカ保有するパスモ所持者のうち、約半数が「仕事と私用」など使い分けを目的にし、残りは「別の機能だと思っていた」などと回答した。販売制限を招いた背景に、併用ニーズの見誤りや、相互利用の周知不足があったことになる。
 パスモ社の早川弘之事業部長は「スイカパスモを使い分けても運賃は変わらない。相互利用についても宣伝してきたのだが……」と渋い表情だ。
 当初8月とされた販売再開時期のめども立っていない。販売制限後に追加発注した300万枚は8月にも入荷が始まるが、3~4月の急激な売れ行きが一時的だったのか再燃するのか見極めが難しいためだ。早期再開の声も強いが、パスモ社では「二度とカードを枯渇させてはならない」(早川部長)と慎重に判断する考えだ。

毎日新聞 2007年6月10日]