高千穂鉄道 廃止届提出

高千穂鉄道が廃止届 高千穂‐槙峰間 1年以内全線廃止へ

 宮崎県北部を走っていた高千穂線の経営所有権を持つ第三セクター高千穂鉄道」(同県高千穂町、TR)は27日、高千穂‐槙峰間の廃止届を国土交通省九州運輸局(福岡市)に提出した。1年以内に廃線が確定する。残る延岡‐槙峰間は既に廃線となっており、高千穂‐槙峰間の廃線が確定すれば全線廃線となり、1935年開業の同線は約70年の歴史に幕を下ろす。
 一昨年の台風で運行停止に追い込まれた同線をめぐってはTRが復旧を断念。代わって同町の観光協会や商工会、焼酎メーカーなどが出資して設立した民間会社「神話高千穂トロッコ鉄道」がTRからの鉄道事業引き継ぎを目指してきたが、開業資金調達のめどが立たず、最大株主の同町観光協会などが再開をあきらめ、トロッコ社から出資金を引き揚げることを決めた。同社の要請で同区間の休止期限を今月26日まで延ばしてきたTRは、こうした動きを受けて廃止届を出した。
 TRは人件費などで資金が底をつく2009年3月までに清算手続きを終える方針で、鉄道施設や土地などの資産は廃線確定後に沿線1市2町に寄付する。
 一方、トロッコ社は開業のために寄せられた募金が約4000万円残っていることから、残った株主らで経営陣を組み直して再開を模索していく予定。関係者によると、廃線が確定した場合でも路線の一部を公園化して列車を遊具として走らせるなど、観光に特化した形で再開・復活させる案が浮上しているという。

西日本新聞 2007年12月28日]